弱い自分が嫌いだった。
弱さを知られることを恐れていた。
私は弱くない。
そう暗示をかけながら生きてきた。
いつも太陽のような人
凛とした生き方をした人
あこがれだった。
そうなりたいと願った。
けれど…
手が届かない。
どうすれば
あんな風に
生きていけるのだろう…。

強く生きる人との出会いとあこがれ
高校生時代
少し大人になりかけのころ
少し世界が広がって
いろんなことをすることが楽しかった。
そんな中、クラスメートに
「今は遊べない。」
と誘いにのってこない友達がいた。
付き合い悪いなって、
その時は思ってしまった。
その子には夢があった。
「看護師になりたい。」
だから、たくさん勉強する必要があった。
その頃の私には
なりたいものが見つからなかった。
「先のことを考えるのも必要だけど
今しかできないことも大事じゃない?」
やりたいことにまっすぐ進む姿に
少し、やっかみを感じながら
私は問いかけた。
彼女は
「今も大事だけれど、先も大事だから。」
と答えた。
返す言葉もなく
その言葉に
凛とした強さを感じた。
社会に出てからも
ときどき、
強く輝いた人に出会う。
女性の管理職だったが
上の人にも部下にも
態度を変えることなく接する。
部下の不満を上司に的確に伝え、
現場を改善してくれる。
不平不満を言っているところも
見たこともなく、
つねに笑顔で明るい。
きっと忙しさは半端ないだろう
「体は大丈夫なんだろうか?」
と勝手に心配までしてしまうが、
平然と仕事をしていた。
あんな風になりたいなって
会うたびに思える人だった。
どうやったら
強い人になれるんだろう。
いつしか、あこがれから
その人たちの真似をするように
なっていた。

強い人にあこがれて、自分を重ねて生きていた。
社会人として経験を重ねていくと
それなりに責任も重くなってくる。
頼まれごとは
時間を要するものだと
わかっていたけど
断ることなく
引き受けていた。
本当は、
早く帰りたい…
正直な本音を隠しながら。
誰かが困っていると
自分の仕事が押してしまうと
わかっていても
その理由を尋ね
その場で対処が難しい時は
代わりに上司に相談しに行った。
相談内容を
わかりやすく頭でまとめ
相手が不快にならないよう
配慮をしつつ
ドキドキしながら
相談していた。
きっと
あの人だったら
こうしただろうな
そんな風に
強い人の真似をし続けていた。
けれど
その反面
あこがれた人たちは
こんなにも
大変だったんだろうかと
少しずつ、
疲弊していく自分に
情けなさを感じていた。

崩れてしまった理想の自分。
強い人になりたくて
強いふりをして生きていくと
本音の気持ちと
ここにいる自分と
その間に
距離を感じるようになっていた。
気づいていたはずだけど
いつもの日常が
変わってしまうことが
怖くて
動けないまま
どんどんと
時間が過ぎていく。
本当の自分は
息もできないほど
苦しかったのに
長い間
見て見ぬふりをしてきた。
その結果
体も心もパンクしてしまうのは
必然だったんだろう。
強くなりたいと思っていた。
真似をしていくうちに
自分は強い人間だと
錯覚してしまっていた。
今まで
築き上げてきた
自分の理想の姿が
砂の城が消えるように
目の前から
なくなっていた。

本当の強さとはなんだろう。
一度壊れてしまえば
もう元には戻れない。
でも今は
元に戻らなくてもいい
そう、 思っている。
あの頃と同じように
強い自分を演じることが
「元に戻る」ことなら
私はもう…
戻らなくてもいい。
誰かの真似をし続けても
それは
本当の自分ではないから。
弱い自分を知ることは
本当に
弱くなることなんだろうか。
きっと
それだけじゃない。
「これはできない」と分かれば、
人に頼める。
「ここまで」と決めれば、
どうにか休める。
「本当は嫌だ」と分かれば、
断る選択肢が生まれる。
弱さを知ることは
自分を弱くすることではなく
自分を扱えるようになること。
これからは、
そのときそのときに
無理をしていないか
自分に聞いてみる。
嫌じゃないのか
聞いてみる。
何が苦手で
何が嫌なのか
自分の弱いところを
知ることから
始めていこう。
もしかすると
そうやって
弱い自分を知ることが
本当の強さなのかもしれない。
今は
そんな強さを
少しずつ
身につけていきたいと思っている。


