自分でも気づかないうちに、
表情に出てしまったのだろうか。
「大丈夫?」
そう聞かれた瞬間、
心の中でつぶやいてしまう。
「しまった、油断した。」
いつも明るさを心がけ、
くよくよしない私でいるはずだった。
どんなときも動揺せず、
平気な顔をしてきた。
だけど本当は、
そんなに強くなんかないことを
私が一番知っている。
それでも、弱い自分を
誰かに見せることができなかった。
気づかれてしまったら、
今まで必死に守ってきた、強い私が
崩れてしまいそうだったから。

優しさが、苦しくなるとき
心配してくれる気持ちには、
素直にありがとうって思える。
私のことを気にかけて、
せっかく声をかけてくれている。
それなのに、
「大丈夫だよ」って笑って、
本当の気持ちを心の奥に隠してしまう。
そんな相手に、声に出さずに伝える。
「ごめんね」と。
だけど、今はまだ心の殻を破れない。
本当の自分をさらけ出す勇気はない。
弱い自分を認めてしまったら、
今までこれが正しいんだって
信じてきた自分まで、
否定してしまいそうだから。
誰かの優しさが
胸をギュッとしめつける。
強くいなければと思っていた
ずっと、
強くいなければと思っていた。
それが理想の姿だった。
誰かに頼ることも、
弱音を吐くことも、
自分には許せなかった。
私は自分の足で
ちゃんと立っているって
みんなに伝えたかった。
誰からも否定されない人に
なりたかった。
けれど……
いつも、どこかで疲れていた。
ちゃんと立っていた足は
気づいたときには
ボロボロだった。
あの頃の自分に伝えたい。
「そんなにすべてを
一人で背負わなくてもいいんだよ」
すぐに誰かを頼れなくてもいい。
今までの自分を、
無理に変えなくてもいい。
ただ、苦しいときまで
強い自分でいようとしなくてもいい。
あの頃は
そんなことさえ
考えられなかったけれど。
大丈夫じゃない、と言えること
今なら、
「大丈夫?」と聞かれたら、
自分の気持ちを隠さずに
「ううん、大丈夫じゃない」
そう答えることができる。
強くいようと頑張ってきた自分も、
決して間違っていたわけじゃない。
あの頃は、殻を作って
自分を守っていたのだから。
それでも、生きていくうちに
その殻にも
少しずつ
少しずつ
隙間ができていく。

何度も
つぎはぎしながら
守ってきたけれど
いつしか
塞ぎきれなくなっていた。
本当の自分をさらけ出すことが
あれほど怖かったのに。
隙間から少しずつ
染み出してきた本来の自分は、
恐れていたほど
悪いものでもなかった。
弱い自分を嫌っていたけれど
そこまで
嫌わなくても
よかった。
もう
すべてを一人で背負わなくてもいい。
今は
そう思える。
今はまだ、
「大丈夫」としか答えられない人もいると思う。
無理に心を開かなくてもいい。
自分の気持ちを話せるようになるまで、
時間がかかってもいい。
いつか、ほんの少しだけ
誰かに弱音をこぼせたとき、
殻からそっと顔を出しても、
悪くないのかもしれない。

